高校サッカー 新人戦 県大会 2回戦

U-18

 昨日に引き続き2日連続子どもの高校サッカーの試合観戦。昨日の強風とは打って変わって今日は風速3mで風がない。気温は昨日と変わらないが風がないとこんなにも暖かいのかという感じ。今日はゆっくり観戦できた。

試合サマリー

 自チームはボールを奪ったら手数をかけず素早く縦パスを前線に供給しゴールを狙うというコンセプト。相手チームは最終ラインでボールを回しながら、高さのあるセンターフォワード(以下、CF)をターゲットにロングボールを入れてくる。そこを起点に攻撃をしかけてきた。

 前半10分、相手の攻撃。CFにロングボールが入りMFに落とす。その間に3人目の左SHがランニングし背後でボールを受けシュート。クロスバーに当たりノーゴール。前半は0-0で終了。

 後半立ち上がり4分。自チームのCKからファーサイドの選手がヘディングで折り返し、中央で合わせゴール先制点。

 後半13分の相手の攻撃。左サイドDFがCFにグラウンダーのボールを入れる。CFがうまくコントロールし反転し前を向く。運びながら右サイドのSHにパス。もう一度リターンを受けペナルティアリア深く侵入しクロスを上げる。中央で合わせゴール。1-1。

 後半22分、自チームのCK。ニアサイドのボールを1人つぶれ後ろにそらす。そのボールに素早く反応し合わせゴール。これで2-1。そのまま終了。

技術・戦術的分析

攻撃

 ボールを奪った後、手数をかけずに素早く縦パスを入れゴールを狙う攻撃は徹底されていた。何回か試合を観て「速攻」がチームのコンセプトであり、全員の共通認識であることが分かった。奪ったオンの選手は前を観る、受け手のセンターフォワード(以下、CF)、オフェンシブハーフ(以下、OH)は背後を狙い動き出す。特にOHの2列目からの背後への動き出しが素早く、相手DFは対応に苦しんでいた。さらに今日の試合は、今までの試合よりも両サイドハーフ(以下、SH)が高い位置を取り、高い位置でボールを受け、ペナルティエリアまで侵入しチャンスを作っていた。

 CKから2得点。「セットプレーがカギ、試合を決める」などとよく聞くが、まさに今日の試合がそうであった。

守備

 最終ラインからマークの確認・受け渡しのコーチングができており、いいポジションニング、いい準備ができていた。コーチングの声は観客席までよく聞こえてきた。また、個々の予測・動き出しが速かった。全員の集中力が高かった。

 チームとしてプレスをかけに行くタイミングがコントロールされていた。1stDFがプレスをかけ限定し、2ndDFが的を絞りインターセプトできていた。

 最終ラインは高さがあり、相手CFへのロングボールはほぼ跳ね返していた。

トランジション

 攻撃→守備

 ボールを奪ってからカウンター攻撃が多いため、守備陣は人数がそろっていることが多い。そのためカウンターを食らうことはあまりない。ダブルボランチの1人は常にバランスをとり、スペースを埋めてリスク管理できていた。

 守備→攻撃

 今日もボールを奪った瞬間にOHが背後を狙い動き出していた。予測、切り替えがとても速い。スプリント回数も多い。相手DFは捕まえきれていなかった。また、今日はSHが前の意識が高く背後を狙いランニングし高い位置でボールを受けていた。

感じたこと・思ったこと

 「リスク管理」について。自チームは予選リーグから「ボール保持率」は決して高くない。低いと思う。相手にボールを保持され守備に回る時間が多い。それでもここまで勝ち上がってきている。

 1つの要因としては、チームで「リスク管理」ができていることだと思う。攻撃に関しては、ボールを奪った後は素早く前線FWをターゲットにパス、またはDFライン背後にボールを配給しゴールを狙う。自陣からビルドアップし保持しながら攻撃する選択もあるがそれを選ばない。そのためボールを失う場所が相手エリアの場合が多い。そして自チームの守備は相手エリアから始まる。FWから守備に入ることができる。

 「中盤でボールを失う」ことで起こるリスクを理解し、チームでリスク管理しながら攻撃をしている。その代わり「ボール保持率は下がり、守備の時間が増える」ということを承知の上で戦術を選択している印象だ。「勝つため」に試合をするわけで、そのためにチーム戦術があり、選手が共通認識をもってプレーし結果が出ていればなにも問題ない。 次戦はシード校の強豪校だ。この戦い方がどこまで通じるか観てみたい。

 さて、視点を変えて「リスク管理」について、普段指導しているU-12において指導すべきことは何であろうか?「ゾーンにおける判断基準」はそのひとつだろう。(図参照)

ゾーンでの判断基準

 U-12でよくあるのが「ディフェンディングサード」で近くに観えている味方にパスを出す。その味方にどれだけプレッシャーがかかっているか観て判断せずに出してしまい、インターセプトされる、またはドリブルで仕掛けてボールを失い即シュートを打たれてしまうシーンだ。もちろんオフの選手のサポートが遅く、オフに原因がある場合もある。子どもたちは素直なので、指導者側が攻撃の目的は「ボールを保持すること」「簡単に失わないように」と教えている影響もあるのだろう。

 「ディフェンディングサードでは確実性のあるプレー・セーフティーなプレーをする」「攻撃の目的はボールを保持すること」これはどちらも正解である。大事なのはこの原則を理解した上でプレーを判断し・選択することだ。自分も「ディフェンディングサード」でよく観ないで安易なパスを出し、インターセプトされ自分のミスから失点したことが数えきれないくらいある。

 「ゾーンにおける判断基準」は、ゲームを通して「トライ&エラー」を繰り返しながらで身につけていくしかないだろう。指導者としては、いい判断・選択をしたら「今のはいい判断だよ、なぜなら今は○○ゾーンでプレーしているよね」などとコーチングする。判断を間違えたら「今どのゾーンでプレーしていた?」など質問して教える・気づかせることの繰り返しが大事だと思う。

[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

サッカー守備解剖図鑑 [ 岩政 大樹 ]
価格:1,430円(税込、送料無料) (2024/1/20時点)


しん

・サッカーをこよなく愛するおやじ
・町クラブのコーチ(コーチ歴7年)
・サッカーC級ライセンス保持(2022年取得)

しんをフォローする
U-18
シェアする
ジュニアサッカーブログ

コメント

タイトルとURLをコピーしました