リフレッシュ研修~講義編~の続き。次のテーマは、「日本と世界の違い」。いろいろな国の事例を交えながら紹介してくれた。
日本と世界の違い ~トレーニング編~
講師からまず「日本はサッカーの入り口で何を教えますか?」と問いかけがあった。「日本は「基礎」が大切。ジグザクドリブル、対面パス、リフティング、1対1。ドイツでは見たことない。「基礎」は大事ですよ。ただ、試合で使えるかどうか。蹴り方?蹴れればいい。パスは通ればいい。1対1?実際の試合は?」と。つづけてドイツの例を紹介してくれた。
ドイツの10歳以下は「フニーニョ(3対3)、4ゴール」のトレーニングを取り入れている。それはなぜか?分析すると4ゴールは3人のボールタッチ回数がほぼ同じ。2ゴールはうまい子のボールタッチが極端に多い結果となったそうだ。1人しかうまくならないか全員うまくなるかの違いだとのこと。ゴールの数で各プレーヤのタッチ数が変わるのは驚きであり学びだった。
オランダは、4対4、今はGK+4対4。なぜか?サッカーに必要な幅と深さ、トライアングルが生まれる。3対3ではトライアングルが1つ。4対4になるとトライアングルが4つ生まれる。
ポルトガルは、1対1+2フリーマンなど「フリーマン」をつけることが多いそうだ。「フリーマンがあるところが日本との違い。日本はなかなかフリーマンが出てこない。でてくるのが遅い。フリーマンがいると攻めはいつ、どう使うか?守りはどっちに行くべきか?オンの選手かフリーマンか、判断する要素が出てくる」
そして改めて「日本はなにをやってますか?ドリル練習?1対1?シュート練習?」との投げかけがあった。トレーニングについて「リアリティとクラリティのバランスを意識してますか?」ということだろう。C級ライセンス講義でも習ったことだ。 私自身もできるだけリアリティを持たせたメニューを心掛けている。簡単に言えば、敵・味方がいてゴールがあること、攻撃・守備・切り替えの要素があるように心掛けている。そのうえで、試合で起きた現象を改善したい場合はその部分だけ切り取りトレーニングするといった形だ。試合のためのトレーニングでなければならない。サッカーを始めたばかり、低学年であろうともだ。「サッカーはサッカーでしか上手くならない」ジョゼ・モウリーニョ監督が残した言葉だ。
日本と世界の違い ~環境編~
続いて「日本と世界の環境面の違いについて」。フランスの育成年代は20チームくらいのリーグ戦が38週(約10か月)にわたり行われるとのことだ。トップとほぼ同じだそう。私が子どものころはU-18までリーグ戦など存在せず、トーナメント、カップ戦のみだった気がする。大会が終われば次の大会まで練習と練習試合が続く、そのうえ次の大会までが長かった気がする。今はだいぶ改善してきていると思う。U-12になると長期リーグが4月頃から始まり12月頃まで公式戦がある。U-18も1年を通してリーグ戦があり、成績により昇格・降格もあり、Jリーグと同じようになっている。また、同じクラブ・高校で2チーム以上構成し、なるべくたくさんの子どもたちがプレーできるようにしているところが多く見受けられる。公式戦はほぼ芝(天然芝、人口芝)のグラウンド。環境面はとても進歩していると思う。子どもたちにとって、とてもいいことだと思う。
これから私たちにできること
最後は「これから私たちにできることは?」というテーマだった。おおきく2つで「自主・自立を促すことに取り組む」「子どもが育つには時間が必要」とのこと。
「自主・自立を促すことに取り組む」について、子どもは外発的動機(勝ったらごほうびなど)、内発的動機(もっとうまくなりたい。こういうプレーがしたい)が絡み合って徐々に内的動機に近づいていく。初めから内的動機は難しい。時には外発的動機を取り入れて、子どもたちが自主的に取り組むように促すことが必要。そしてトレーニングで身につけさせたいことができるように仕組み・しかけを取り入れることが大事だと。言うだけではなかなか難しいと。
実技でやった「4色のビブスに色分けしてのボールボゼッション」は「観る・判断する・実行する」のためによく仕掛けられていると思う。鬼でない色を観て判断する必要があるからだ。さらに連続して同じ色はNGという制限をつけることにより、プレーヤーはもっと多くの情報を素早く正確に観て判断しなければならない。これが仕掛けだと思う。
「子どもが育つには時間が必要」について、「促成栽培は失敗する」という言葉があった。急いで育成しても途中で腐って消えていく、上の年代でダメになるケースもある。天狗にさせないことが大事だと。
とても勉強になった研修であった。学んだことを現場で試して効果を観ていきたい。
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