NTT西日本グループカップ第56回静岡県ユースU-12サッカー大会 決勝戦

U-12

 決勝戦はFCガウーショ VS 清水エスパルスU-12清水。気温11℃、快晴に恵まれ風もそれほど強くなく絶好のサッカー日和。どちらが勝つのか⁈注目の決勝戦をエコパスタジアムに観戦に行きました。

試合サマリー

 清水エスパルスU-12清水(以下、清水)は、最終ラインからビルドアップしボールを運ぶ。ピッチの幅を広く使いながら前進する。サイドチェンジをうまく使い、サイド攻撃でチャンスを作っていた。一方、FCガウーショ(以下、ガウーショ)は個々がドリブルを効果的に使い、相手DFを突破しチャンスを作っていた。前半はお互い譲らず0-0で折り返す。

 後半、開始早々試合が動く。後半2分、ガウーショのCK。滞空時間の長いボールを蹴りこむ。GKがクリアしようとはじいたがこれが入り、1-0。続いて7分、ガウーショの最終ラインから清水DFとGKの間にロングボールを配給。これをガウーショFWがGKより一瞬速くさわりシュート、GKがはじいたがこぼれ球を拾いシュート。これが決まり2-0。後半9分、清水の攻撃。ペナルティエリア内に侵入したところを、相手DFがスライディングで防ぐがこれがPKの判定。これが決まり2-1。その後はお互いにフィニッシュまで行くがゴールは決まらずこのまま試合終了。2-1でガウーショの勝利。

技術・戦術的分析

攻撃

 ガウーショのドリブルが効果的で清水を苦しめていたと思う。自陣から中盤にかけては、ドリブルで運ぶことを選択し、しっかり前進できていた。中盤からバイタルエリアにかけては、ドリブルで突破を図りチャンスを作っていた。ドリブルで1人剥がし、次のDFをつり出し、DFが出てきたところをまたドリブルでかわしたり、パスで崩したりといったシーンがたくさん見受けられた。相手が2人いてもお構いなしに突破を図っていたのが印象的だった。

 また、テクニックの部分で突破できずに追い込まれても「切り返し」のフェイントをうまく使い、ボールを失うことなく、次の選手へつないでいた。「切り返し」が巧みで、清水は追い込んでもボールをなかなか奪えなかったシーンが多かった。

 一方、清水は、最終ラインからビルドアップしボールを運ぶ。オフの選手が複数で関わり的確な距離と角度でサポートしていた。また、ピッチの幅を効果的に使いサイドからチャンスを作っていた。特にサイドチェンジを有効に使い、逆サイドのDFがオーバーラップしバイタルまで侵入し決定機を作っていた。複数が関わりコレクティブなサッカーをしていた。Jクラブのジュニアユースのサッカーといった感じだ。ただ、最後の所でガウーショGKのファインセーブがありゴールを奪えなかった。後半に2回決定機があったがガウーショGKが良く防いだと思う。

守備

 清水は、中盤の選手の攻→守の切り替えが速く、素早くプレスをかけ相手を自由にさせず突破を防いでいた。またセカンドボールへの意識も高くボールをよく回収し攻撃につないでいた。

 ガウーショの守備は最終ラインのDF2人がとにかく能力が高く、清水はなかなか突破できなかった印象だ。2人とも身体能力が高くハイボールはヘディングで跳ね返していた。ボール奪取能力も高く、縦パスが入った際はインターセプトできるし、できなかったとしてもプレスを掛け簡単には前進させなかった。またスピードもありカバーリングも的確でピンチを防いでいた。ガウーショのこの2人の最終ラインと突破するのは簡単でないだろう。

感じたこと・学んだこと

両チームの異なる攻撃のスタイルが随所に出ていて見ごたえのある試合だった。

 特に感じたのは、攻撃は「ゴールへの意識」「パス・動きの優先順位」を個々が意識し判断し実行する。そのプレーの積み重ねが相手に脅威を与えチャンスをつくることができるということだ。

 清水は、ボールを保持しながら複数でコレクティブに攻撃を仕掛けていた。すごいと思うのは、ただボールを保持するだけでなく、しっかりと前進しバイタルエリアまで持ち込めることだ。

 U-12の試合では最終ラインからビルドアップし攻撃を狙うチームが多い。ただ、ボールを保持することが目的になり、効果的ではないシーンが多々見受けられる。例えば、最終ラインで横パスを交換し、なかなか前進できない、その間に相手守備の陣形が整ってしまい突破が難しくなるシーン、前へ・ゴールへチャレンジできる状況なのに、リスクをとらずに横パス・バックパスを選択してしまうシーンなどだ。これでは相手にとって脅威とはならず、効果的ではないと思う。

 清水が他のチームより優れているのは、攻撃の目的である「ゴール」を意識したうえでビルドアップできているとことだと思う。ゴールへのルートを探りながら「パス・動きの優先順位」を意識し、しっかりと前進しバイタルエリアまで持ち込んでいた。

 一方、ガウーショもスタイルは異なるがゴールを意識し攻撃している。ゴールを狙う手段がドリブルの選択が多いのが特徴であり、それがとても効果的だ。今日も個で突破し局面を打開し数的優位を作りゴールに迫る、個で剥がしてシュートを打つシーンがたくさんあった。個々のゴールへの意識は強い。相手からしたらまず突破を狙ってくるので素早く対応せざるを得ず脅威だろう。清水のDFも相手ドリブルへの対応に苦労していた印象だ。DFとしては、よっぽど横パス・バックパスを選択してくれた方が準備する時間が増え対応が楽であろう。

 今日の試合からの学びは、攻撃は「ゴールへの意識」「パス・動きの優先順位」を個々が意識し判断し実行する。そのプレーの積み重ねが相手に脅威を与えチャンスをつくるができるということであろう。では具体的にそれをどうトレーニングに落とし込み、改善していくのか?

 トレーニングのオーガナイズにおいて「ゴール」を設定することが重要だ。「ゴール」はラインゴールでもミニゴールでも複数ゴールでもかまわない。それはテーマによって使い分ければいい。ゴールを置けば攻撃の方向が決まる。攻撃方向が決まれば、観る・判断する方向に優先順位が生まれる。オンの選手は体の向き・ファーストタッチを意識するようになる、オフの選手は動きの優先順位を意識するようになる。トレーニングにリアリティが生まれる。

 一般的にゴールのないボールポゼッションのトレーニングがあるが、これはこれで「認知・判断・実行」、「ボールを失わずに保持する」目的があると思う。ただ、攻撃方向がないためリアリティに欠ける面もある。ポゼッションだけで終わらずにゴールを設定してどうやって前方にあるゴールに結びつけるかまでトライさせることが効果的だと思う。試合では前進しないとチャンスは作れない。

 また、指導者のコーチングの面では、オンの選手は「ゴール」を意識しているか?「パスの優先順位」はどうだったか?オフの選手の「動きの優先順位」はどうだったか?、トレーニング・ゲームの中で個々の選手の判断・選択したプレーをよく見てあげることが大切だと思う。

 例えば、オンの選手がバイタルエリアで前を向きいい状態でボールを受け敵と対峙している状況で、「ゴール」を意識して突破を狙ったが奪われた場合、それはチャレンジした判断を褒めてあげるべきだと思う。あるいは、オフの選手が前方のスペースを使いオーバーラップしたが結局パスが来なかったとしても、前方へのランニングを見逃さずに褒めてあげるべきだ。逆の場合は、コーチングして気づかせるのがいいと思う。結果ではなく判断・実行についてどうだったかコーチングしてあげることが大事だと思う。今日の気づき・学びを現場で意識して取り組んでいきたい。

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しん

・サッカーをこよなく愛するおやじ
・町クラブのコーチ(コーチ歴7年)
・サッカーC級ライセンス保持(2022年取得)

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