U-12 いいトレーニングメニューありますか?

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いいトレーニングメニューありますか?

 先日、4年生の担当コーチから相談を受けました。「試合でサイドを使ってなかなか崩せないのですが、何かいいトレーニングメニューありますか?」と。自チームの今の課題をしっかりと認識していました。ただ、それをどう解決しようか悩んでいる様子でした。

 これはなかなか難しい質問です。トレーニングメニューは無数にあり、それぞれに目的があると思います。「これをやればサイドのスペースを有効に使い崩して点を取れるようになる」というようなメニューがあったら私も知りたいです。

 「4年生、サイド、崩す」というキーワードから「フニーニョ」がいいのではと思いましたが、実際どんなトレーニングをしているのか観たことがなく、まずはトレーニングを見させていただきました。

その日のトレーニングメニュー

 その日のメニューは、W-up→スクエアパス→4対2のボール回し→2対2(2ゴール)→最後に8対8のゲームだったと思います。時間配分は、スクエアパスと4対2のボール回しで60分程度、けっこう長くやっていた印象で、2対2(2ゴール)が15分程度、ゲームが20分程度だったかと思います。

 冒頭でも触れましたが、それぞれのメニューには目的があり、良いメニュー・悪いメニューというものはないと思います。大事なのは、トレーニングの「プランニング」だと思います。

 チームの目標を達成するため、または課題を克服するための「テーマ」が設定されていること、トレーニングメニューがテーマから逸れていないこと、リアリティとクラリティのバランスが取れていることが重要だと思います。

トレーニングメニュー

トレーニングのプランニング

 仮にその日のテーマが「サイドのスペースを有効に使い崩して点を取れるようになる」だとしたら、少しテーマから逸れている、またリアリティとクラリティのバランスが偏っていると感じました。

 明確になる状況(クラリティー)の高いトレーニングであるスクエアパス、4対2のボール回しの割合が多く、ゲーム状況(リアリティ)の高いトレーニングである2対2(2ゴール)の割合が少ないように感じました。

 スクエアパスなどクラリティーの高いトレーニングは反復が多く再現性があり、テクニックを高めるためには有効です。ただ、それだけではリアリティーに欠けます。試合ではピッチに味方と敵がいて敵からのプレッシャーを受けながらプレーする必要があります。敵のいないパスのトレーニングをいくらやってもミスパスが減らないというのはよくあることだと思います。

 また、「サイドから崩す」という現象を発生させるためには、敵と味方がいる、ゴールがある、攻撃方向が設定されている、ピッチの幅が確保されている、そして複数人で関わりプレーするなどの要素がオーガナイズされている必要があると思います。

 その日のトレーニングでは「サイドから崩そうとしたが失敗した、またはサイドから崩してゴールを奪った」という現象はあまりなかったように感じました。プレーがうまくいくかどうかは置いといて、発生させたい現象を多く生み出せるオーガナイズを考える必要があると思います。

リアリティとクラリティのバランス

フニーニョを取り入れてみる

 上記を踏まえて「フニーニョ」を取り入れてみるのがいいと思いました。英語のFun(楽しむ)とスペイン語の「子ども」(Niño)をあわせた言葉で、「3対3の4ゴールゲーム」を指します。ドイツの育成年代で導入されているトレーニングです。過去の記事「C級ライセンス リフレッシュ研修 講師:池上 正さん ~講義編~ 2/2」でも「フニーニョ」について触れています。

フニーニョ

 「フニーニョ」を薦める理由として3つあります。

 1つ目は、楽しいということです。関わる人数が少ないためたくさんボールに触れることができます。また、ゴールが4つ設定されていて、たくさんゴールが生まれます。子どもたちにとってゴールは何よりもうれしいことの1つでありサッカーの醍醐味だと思います。

 2つ目は、ゲーム状況に近い、リアリティが高いということです。ゴールがあり、攻撃・守備・攻守の切り替えが発生します。ボールを奪われたらゴールを守るために守備をしなくてはなりません。奪い返したら点を取るために攻撃をします。

 このような状況で3人のプレーヤーが関わり連携して中央またはサイドから崩す現象、またはオンの選手がオフの選手をおとりに使い個で突破する現象が発生します。これはまさにゲームと同じです。

 3つ目は、ゴールが2つあることで顔を上げて両ゴールを観察するようになります。サッカーのプレーの構成要素である「認知・判断・実行」の「認知」の部分を高めるのに効果的だと思います。

 今後は、継続して「フニーニョ」を取り入れて、効果を観ていきたいと思います。定期的にレポートしたいと思います。


「蹴る・運ぶ・繋がる」を体系的に学ぶ ジュニアサッカートレーニング

・サッカーをこよなく愛するおやじ
・町クラブのコーチ(コーチ歴7年)
・サッカーC級ライセンス保持(2022年取得)

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